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I1201

高分解能型誘導結合型プラズマ質量分析計(HR-ICP-MS)

1. メーカー名、型式

サーモフィッシャーサイエンティフィック社製     ELEMENT XR

2. 原理

アルゴンプラズマによりイオン化された元素の質量を測定することにより、試料中の微量元素の分析を行います。二重収束型質量分析計を有しているため、一般のICP-MS(四重極型質量分析計)では分析が不可能なP、Siの分析が可能です。また複雑なマトリックス溶液中の微量元素の分析に対して高分解能での測定が可能であるので、より信頼性の高いデータが得られます。

3. 特徴と性能

  1. 検出限界 ppq〜ppb(測定溶液の濃度として)レベルの元素の定性、定量分析が可能
  2. 試料に応じて、低、中、高分解能のモードを選択(RP300、4000、10000)でき、より信頼性の高い測定が可能(7.に詳細を示す)
  3. HFを含む試料や、一部の有機溶媒の導入も可能

4. 試料の形状、サイズ

  1. 水溶液:希釈して導入可能なものは直接測定します。
  2. 固体、溶液:適切な前処理を行い、水溶液化して測定します。有機溶媒はプラズマが維持できるものであれば、直接導入も対応できます。
  3. 気体:水溶液に吸収する等の処理を行い測定します。

5. 分析依頼の際の留意点

試料に対する容器、雰囲気からの汚染が無視できませんので、試料採取、送付の際には十分ご配慮下さいますようお願い申し上げます。

6. 応用分野と分析例

  1. 半導体および関連製品中の微量、超微量金属分析
    シリコンウェハ表面の微量不純物金属の分析、クリーンルーム雰囲気の分析(出張サンプリングも行います)、薬液、レジスト、有機溶剤中の不純物金属元素の分析等。
  2. 電池関連材料中の微量金属元素の分析
  3. セラミックス中の微量金属元素の分析

7. 測定例

硝酸水溶液中のリンの分析について、低分解能と中分解能の測定条件(質量分解能はそれぞれ300と4000)におけるスペクトルを以下に示します。低分解能ではN由来の質量スペクトル干渉により分析が困難ですが、分解能を上げることで、ピーク分離ができ、より正確な分析が行えます。

図:1%硝酸溶液中のリンのスペクトル

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