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I383

イオンクロマトグラフ-質量分析計(IC-MS)によるセレン酸の分別定量

環境水中の無機セレンイオンは亜セレン酸イオン(SeO32-)とセレン酸イオン(SeO42-)の形態で存在しています。排水処理においては、実用的な除去技術が確立しておらず、特にSeO42-の除去が困難とされています。この問題解決の一環としてセレン酸イオンの分別定量が必要となります。
今回、イオンクロマトグラフ-質量分析法(IC-MS)によりSeO32-とSeO42-の分別定量の検討を行いました。図1に、SeO32-(m/z 127)とSeO42-(m/z 143)の選択イオンモニタリング(SIM:Selected Ion Monitoring)、図2にそれぞれの検量線をに示します。SeO32-、SeO42-ともに高感度(定量下限0.5ng/mL)で良好な直線(R2=0.999以上)の検量線が得られました。
セレン酸イオンの分別定量は、別報I378のイオンクロマトグラフ/誘導結合プラズマ質量分析法(IC/ICP-MS)でも分析可能ですが、本法ではイオンクロマトグラフの特徴を活かし、セレン酸イオン以外にF-、Cl-、Br-、SO42-など無機イオン成分や酢酸イオン、ギ酸イオン、シュウ酸イオンなど有機酸イオンの一斉分析も可能です。

図1:SeO32-、SeO42-のSIM(Seとして各0.01μg/mL)

図1:SeO32-、SeO42-のSIM(Seとして各0.01µg/mL)

図2:SeO32-、SeO42-の検量線(標準溶液濃度:Seとして0.01〜10μg/mL)

図2:SeO32-、SeO42-の検量線(標準溶液濃度:Seとして0.01〜10µg/mL)

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