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I390

ICP-MS/MS技術を用いた硫酸溶液中のTi, Znの定量分析

ICP-MSにより硫酸溶液中のTi(m/z=46〜50)やZn(m/z=64,66〜68,70)を測定する場合、硫黄由来の分子イオン(32S16O+32S32S+等)の質量スペクトルの干渉を受けるため、高感度分析が困難でした。
今回、1%、10%硫酸溶液を試料溶液とし,ICP-MS/MS法の優位性を評価しました。
ICP-MS/MSによるマスシフト法と、従来用いられてきたコリジョンリアクションセル法(CRC法)について比較した分析結果を報告いたします。
硫酸溶液中のTi, Znの定量下限値を表に示し、10%硫酸溶液のTi, Znの検量線を図に示しました。CRC法と比べ、マスシフト法では定量下限値が改善され、pptレベルのTi, Znの分析が可能となりました。これにより当社では、硫酸を含む溶液中の極微量の一斉分析が可能となりました。また、マスシフト法を用いることで、塩酸やリン酸など他の試薬への応用も可能ですので、お問い合わせの程、宜しくお願い致します。

表:硫酸溶液中のTi, Znの定量下限値
干渉除去法 CRC法 マスシフト法
分析元素 Ti(ppt)
1%硫酸溶液 測定不可 12
10%硫酸溶液 測定不可 92
分析元素 Zn(ppt)
1%硫酸溶液 62 63
10%硫酸溶液 435 127
図:CRC法とマスシフト法による10%硫酸溶液のTi,Znの検量線

図:CRC法(左)とマスシフト法(右)による10%硫酸溶液のTi,Znの検量線

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