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M237

EBSDによる溶接部の評価

電子後方散乱回折(装置資料「電子後方散乱回折(EBSD)」参照)を用いて、鉄線同士の溶接部内部の結晶粒径と方位を評価しました。
図1にファインメッシュの外観写真を示します。鉄線Aの軸切り中央、鉄線Bの輪切り中央となる断面を作製しました(図2)。図2中の四角枠部のSEM像(反射電子像)を図3に、EBSDによる逆極点図方位マップを図4にそれぞれ示します。SEM像と逆極点図方位マップより、鉄線部に比較して溶接部では粒子径が大きいことが分かります。図4中の四角枠1〜3について、EBSDより求めた平均粒子径は鉄線A:0.51µm、溶接部:0.89µm、鉄線B:0.43µmとなりました。

次に、それぞれの箇所について結晶配向の評価を行いました。図4中の四角枠1〜3についてFe(BCC){101}の極点図を図5に示します。鉄線Aでは左右に、鉄線Bでは中央に{101}が強く出ており、鉄線では軸方向に{101}が配向していると考えられます。一方、溶接部の極点図には規則性が認められず、配向はしていないと考えられます。
以上のように、SEM-EBSDを用いることで、溶接によって生じた領域、結晶の粒子径や配向性を評価することが可能です。

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