HOME > 分析対象 > エレクトロニクス > 記録媒体
M238

垂直磁気記録媒体の断面および平面構造解析

年々増加するデジタル情報の保存需要に応えるべく、ハードディスクドライブ(HDD)では、微細な組織構造を制御することで記録密度の向上が図られています。ここでは、HDDの構成部品の1つである垂直磁気記録媒体を透過電子顕微鏡(TEM)で分析した事例を紹介します。
市販のHDD中の垂直磁気記録媒体を断面方向から見たときの暗視野STEM像を図(a)に示します。ここから垂直磁気記録媒体に典型的な多層構造を確認できます。また、シリコンドリフト検出器を用いて高感度EDS元素マップ測定を行うと、各層の元素分布を詳しく明らかにすることが可能です(図(b))。
一方、同じ媒体のキャップ層、記録層を平面方向から見ると、異なる組織が認められます(図(c)、図(d))。記録層については、磁性粒の大きさが制御されていること、磁性粒同士が非磁性粒界層で分離されていることが確認できます。さらに画像解析を併用することで、これらの組織を定量的に解析可能です(技術資料:画像解析による粒界層の解析)。

写真:垂直磁気記録媒体を断面方向から見たときの (a) 暗視野STEM像, (b) EDS元素マップ, (c) キャップ層, (d) 記録層を平面方向から見たときの暗視野STEM像

図:垂直磁気記録媒体を断面方向から見たときの
(a)暗視野STEM像、(b)EDS元素マップ、(c)キャップ層、(d)記録層を平面方向から見たときの暗視野STEM像

前のページに戻るこのページのトップへ