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O315

無水マレイン酸変性ポリプロピレンの変性構造解析

無水マレイン酸(MA)で変性したポリプロピレン(PP)、MA-g-PP、は改質PPとして広範な材料に混合されています。近年では、天然バイオマスへの少量添加による複合化の検討も行なわれ、環境調和型材料の創製という観点からも注目されています。MA-g-PPが添加された材料の物性制御には、MA変性構造の解明が必要です。しかし、一般的に利用されている工業用MA-g-PPは、低変性濃度故に変性構造解析の報告例がほとんどありません。

そこで、弊社では高感度分析が期待できる1H観測の2D-NMR法を中心に用いてMA変性構造解析を試みました。その結果、従来知られていた無水コハク酸シングルグラフト基(図1)に加えて、あまり知られていなかった無水イタコン酸がポリマー末端にグラフトしている構造(図1↓ピーク、図2)の存在が明らかになりました。この無水イタコン酸末端構造について、1H-NMRピークの帰属及び13C-NMR全ピークの帰属を初めて示すことが出来ました(日本化学会第85春季年会, 2005.3.26 にて発表)。

図1:1H-NMR spectrum of MA-g-PP

 図1:1H-NMR spectrum of MA-g-PP

図2:1H-NMR spectrum of MA-g-PP

 図2:1H-13C HMBC spectrum of MA-g-PP

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