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O473

1H-NMRのスピン結合について

近くにある化学的環境の異なる核が相互に影響しあうと、エネルギー準位が分裂してNMRスペクトルは多重線になります。これをスピン結合と言い、この分裂の多重度および分裂線間隔(スピン結合定数、共鳴周波数Hzで表記)より各核の位置関係(有機化合物の炭素骨格)がわかります。

図1にエタノールの1H−NMRスペクトルを示しました。スピン結合による分裂の多重度は、シグナルの示す水素核の両隣りの炭素に結合する総水素数+1となります(1Hの場合)。したがって、エタノールのメチル基は隣のメチレン基とスピン結合を起こすため、メチル基およびメチレン基シグナルは、それぞれ3本および4本に分裂します。このようにスピン結合の情報を利用すればケミカルシフトの情報と合わせ、未知化合物の構造決定が可能となります。

図1:エタノールの1H-SNMRスペクトル

図1:エタノールの1H-NMRスペクトル

次に、図2にイソプロパノールとn-プロパノールのスピン結合の分裂パターンを示しました。エタノールと同様に、分裂の多重度はシグナルの示す水素核の両隣りの炭素に結合する総水素数+1となっています。

図2:イソプロパノール(上段)とn-プロパノール(下段)の1H-NMRスペクトル

図2:イソプロパノール(上段)とn-プロパノール(下段)の1H-NMRスペクトル

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