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プラスチック成型品中の色素の分析

質量分析装置(MS)を用いたプラスチック成型品中の色素分析について紹介します。一般的な手法としては、細かく粉砕した試料から溶媒で色素を抽出分離し、IR、MS、NMR等で分析を行います。

試料によっては、溶媒抽出で色素を抽出分離することができないこともあります。このような場合の分析法として、ASAP(大気圧固体試料プローブ)-MS法があります。この方法は、揮発性(難揮発性)の色素であればプラスチック試料そのままを装置プローブへ導入することで、質量分析ができます。

1.実験と結果

実際に行ったプラスチック成型品中の色素分析について紹介します。

  1. ポリエチレン(PE)成型品(PEに色素を加熱溶融混練した試料)を冷凍粉砕した試料をそのままASAP-MSで高分解能測定しました。その結果、質量数445.1191(M+H)+のピークが検出されました(図1)。
    図1:プラスチック成型品のASAP-MSスペクトル

    図1:プラスチック成型品のASAP-MSスペクトル

  2. 測定した質量数より色素の分子式を絞り込んだ結果、C28H17N2O4(M+H)+と考えられました(表1)。
    表1:精密質量からの分子式推定結果

    表1:精密質量からの分子式推定結果

    この分子式から検索を行った結果、色素はPigment Red177(C28H16N2O4、M.W:444)であることが推定されました。
  3. さらにMS/MS測定を行うことでマスペクトルのフラグメントピークから色素の構造式を確定することができます(図2、表2)。
    図2:プラスチック成型品のASAP-MS/MSスペクトル

    図2:プラスチック成型品のASAP-MS/MSスペクトル

    表2:プラスチック成型品のASAP-MS/MSフラグメントピーク解析結果

    表2:プラスチック成型品のASAP-MS/MSフラグメントピーク解析結果

2.まとめ

成型材料中にある溶媒抽出ができない色素であっても、揮発性があればASAP-MS、MS/MS分析が可能です。これらの分析によって、高い確度で色素の同定が行なえます。

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