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O512

13C-NMRによる光学活性化合物の識別

「NMRによる光学活性化合物の識別」(技術資料「NMRによる光学活性化合物の識別」参照)にて、1H-NMRによる分析事例を紹介しました。1H-NMR分析は、感度が高い一方で、シグナルが検出される範囲が狭く(およそ0〜15ppm)、カップリングによるシグナルの分裂が生じる事から、シグナルの重複がしばしば問題となります。この問題を解決するひとつの手法として、今回は、13C-NMRによる分析事例を紹介します。13C-NMR分析は、シグナルが検出される範囲が1H-NMRよりも広く(およそ0〜250ppm)、シグナルは通常シングレットであることから、より明確なシグナルの識別(分離)が期待できます。

図1に13C-NMRのスペクトルを示します。1H-NMRの場合と同様に、包接キラルシフト試薬(キラバイト−AR)を添加する事により、ケミカルシフトが変化し、D体とL体のシグナルを識別できることが分かります。また、13C-NMR においても、D体とL体のシグナルの積分比から、組成比を算出することもできます。

キラバイト−AR   L−メントール(▲) D−メントール(●)
図1:13C-NMRスペクトル

図1:13C-NMRスペクトル

※光学活性化合物のすべてにおいて、本手法が適用できるとは限りません。そのため、D体及びL体、もしくはそれらの組成比が既知である参照試料にて、適用可能なキラルシフト試薬の探索検討を行う必要があります。

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