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最長緩和時間測定による成形性能評価
−弾性、粘性の温度依存性(1)−

ポリマーの成形性評価方法の一つに応力緩和測定があります。溶融状態で応力緩和挙動を測定することにより、樹脂の流れ易さ(成形し易さ)の判定に役立つデータが得られます。これは成形性の良し悪しの原因究明の一助として有用なデータです。

装置は溶融粘弾性測定装置(ARES)でコーン&プレートにより測定を行います。測定は試料を溶融状態で一定時間定常流測定を行い、回転を停止した後の応力を測定します。コーン&プレートは溶融粘度により25mmφあるいは50mmφを選択します。

下に示す図は成形性の良い物と悪い物を測定した例です。成形性の悪い物は良い物に比べて緩和時間が長くなっていることがわかります。

図:樹脂の溶融状態における応力緩和曲線

図:樹脂の溶融状態における応力緩和曲線

また、緩和挙動曲線の傾きから次式を使って最長緩和次間を算出できます。

logσ(t)=-t/2.303τm+logσ(τm)

 上記の式から最長緩和時間(τm)を算出した結果、成形性の悪い物は良い物の約4倍の値となりました。成形性の差が数字の上でも現れています。

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