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低弾性率粘着性エラストマーの粘弾性評価(ナノインデンテーション)

図1:粘弾性測定の原理

図1:粘弾性測定の原理

図2:粘弾性測定モード

図2:粘弾性測定モード

近年、低弾性率粘着性エラストマーは様々な分野で応用されている。粘着層は、接着と剥離という2つの役割を担っている。一般的に、接着性能は低周波数時の機械特性と関係し、剥離性能は高周波数時の機械特性と関係すると言われているため、粘弾性の周波数依存性を評価することは特に重要である。さらに粘着層が薄い場合、一般的なバルク測定では粘着層のみの情報を取り出すことができないためナノインデンテーション試験が重要となる。

ナノインデンテーション試験において、押込み圧子に動的信号を加え(図1中の赤線)、変位の応答(図1中の青線)を測定する。これより、変位と動的荷重の関係が分り、粘弾性特性が算出される(詳細は技術資料「微小領域の動的粘弾性評価(ナノインデンテーション)」参照)。図2に2種類の粘弾性測定モードを示した。周波数特性測定モード(図2(a))では、荷重一定で周波数を変化させることにより周波数の依存性を調べる。

図3にスマホ用液晶保護面側に存在するシリコンエラストマーの貯蔵弾性率の周波数依存性を示した。この粘着層は貯蔵弾性率が低く(複合弾性率1.6〜1.7MPa、 技術資料「低弾性率粘着性エラストマーの機械特性評価(ナノインデンテーション)」 参照)、周波数依存性がないことが分る。この様に、ナノインデンテーション試験は低弾性率を示す試料の機械特性を評価することが可能である。

図3:スマホ用粘着層の貯蔵弾性率の周波数依存性

図3:スマホ用粘着層の貯蔵弾性率の周波数依存性

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