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P330

ポリマーアロイの相分離構造観察 SEM,TEM,SPMの選択

ポリマーアロイでは、相分離構造の制御により物性制御を行うことが中心課題であることから、まず相分離構造を評価することが重要となる。相分離構造の観察は、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)などの顕微鏡による方法が最も一般的で重要であり、それぞれの特徴を生かして手法を選択する。表1にこれらの手法の選択基準を、図1に実施例(ゴム・ポリオレフィン・ナイロン三元グラフト共重合体※1)を示す。

※1) ゴム;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ポリオレフィン;ポリプロピレン(PP)、ナイロン(PA)

表1 SEM,TEM,SPMの比較※2

項目 SEM TEM SPM
相分離サイズ 約100nm〜 数nm〜 数十nm〜
像サイズ 約1μm〜1mm 〜数十μm 数百nm〜数十μm
断面サイズ 約500μm〜1000μm 約250μm〜500μm 約500μm〜1000μm
コントラスト因子 平均原子番号
(染色度合)
電子線の散乱能
(染色度合)
弾性率、吸着力
前処理 断面作製、染色 超薄切片作製、染色 断面作製
メリット 広範囲の観察 微細組織の観察 力学物性の情報を取得※3
デメリット 奥行の情報が出易い 前処置に技術を要する 測定に技術を要する

※2) サイズは目安である
※3) 定量値の取得には、材料の弾性率に応じたプローブの選択が必要である


図1 EPDM/PP/PAの断面像 約10μm角

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