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P335

ナノインデンターによる動的粘弾性の温度依存性測定

複合材料中の各成分の力学物性を評価する上で、ナノインデンテーション法は有効である。高分子材料をはじめとする各種材料は、温度によって力学物性が変化する。そのため、各温度における力学物性を評価することは重要であり、ナノインデンター用加熱ステージを用いることでこれが可能となる。加熱ステージの模式図を図1に、仕様を表1に示す。
断面加工した炭素繊維強化プラスチックの母材であるエポキシ樹脂部分のガラス転移温度をナノインデンターによる動的粘弾性測定で評価した結果を、図2に示す。図2より、ガラス転移温度を表すtanδのピークトップが130℃付近に観測された。
なお、Er’はナノインデンターで求められる貯蔵弾性率であり、貯蔵弾性率(E’)との関係は以下の通りである。Er”とE”の関係も同様である。
Er’=E’/(1-ν2) E’ ; 貯蔵弾性率、ν ; 試料のポアソン比

図1:ナノインデンター用加熱ステージの模式図

図1:ナノインデンター用加熱ステージの模式図

温度範囲 室温〜400℃
試料サイズ(理想) 10mm角×1mm厚
圧子 バーコビッチ*1
雰囲気 空気

表1:加熱ステージの仕様

*1三角錐型圧子、先端開き角142.3°、先端径150nm程度

図2:炭素繊維強化プラスチックの母材であるエポキシ樹脂部分の貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接(温度依存性)

図2:炭素繊維強化プラスチックの母材であるエポキシ樹脂部分の貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接(温度依存性)

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