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S0501

走査型電子顕微鏡(S-4800)

1. メーカー・型式

(株)日立ハイテクノロジーズ製 電界放出型走査電子顕微鏡:S-4800

走査型電子顕微鏡(SEM)は電子線を利用して微小な表面構造を鮮明に観察することができます。さらに、焦点深度が深い像が得られることから、凹凸の激しい試料表面の構造を拡大して、三次元的な画像が観察できる装置です。S-4800は0.1kVでの低ダメージで形状(二次電子)像観察、1kVでの組成(反射電子)像観察、走査型透過電子顕微鏡(STEM)像観察ができ、高感度EDS検出器による低電流かつ短時間でのEDS分析が可能です。

図:装置の構成

装置の構成

図:高感度EDS検出器

2. 原理および特徴

  • 電界放射で発生する電子線は高輝度で、且つエネルギー幅が小さいため、高分解能観察が可能となります。特に低加速電圧においても高い分解能を示します。
  • セミインレンズ方式(WD=2〜)の採用により、高分解能と試料サイズを両立しています。
  • 電場/磁場を組み合わせた二次電子検出系を採用することで、超低加速電圧域(1kV〜)での反射電子像観察が可能です。
  • リターディング機能により、試料照射電圧を0.1kVまで低下させることができ、試料の表面形状を低ダメージで観察できます。STEM機能により、微小試料の透過像観察が可能です。
  • 試料から発生する特性X線をEDS(エネルギー分散型X線)検出器で検出し、微小領域の元素分析(B〜U)や元素の分布状態を測定できます。
  • 試料直上に高感度EDS検出器を配置しており、発生X線を高効率・高感度で検出できます。そのため、低電流かつ短時間で分析が可能となり、電子線ダメージを受けやすい材料や立体障害(穴の底や大きい粒子の隣など)を避けたEDS分析が可能です。

3. 主な性能、仕様、付属品

電子銃 電界放出型(サーマル型)
分解能 二次電子像 1nm(15kV)、1.4nm(1kV)
倍率 ×20〜×800,000
加速電圧 0.1〜2.0kV(リターディング)0.5〜30kV(標準)
検出方法 二次電子像、反射電子像、STEM像(明視野像,暗視野像)

4. 試料形状・サイズ

形状 150mmφ×15mmH以下

5. 分析依頼時の留意点

  • 機械研磨、ミクロトーム法、CP法、FIB法による断面加工が必要な際は、試料作製時に水・有機溶媒や各種樹脂等を使用するため、耐熱性、吸湿性、耐薬品性の情報が必要です。
  • 試料取り扱いの際、試料表面の汚染に注意してください。
  • 真空中で揮発する試料は測定できません。
  • 磁性体は測定できません。

6. 応用分野と分析例

  1. 低ダメージ観察
    【電子線・蒸着ダメージを避けた無蒸着観察(有機材料)】
  2. 高感度EDS分析
    【軽元素主体試料のEDS分析・マッピング(Liイオン電池)】
  3. STEM観察
    【ミクロトーム法による切片STEM観察(粉体試料)】
  4. ステレオ観察
    【試料の立体的観察(カーボンナノチューブ)】
  5. 形態観察・組成分析・半定量分析
    【粉体試料の分析 (磁性体以外の材料全般)】

前処理装置技術資料

SEM 技術資料

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