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S262

TOF-SIMSによる有機材料の表面汚染評価

液晶や有機EL素子など、有機材料を用いたデバイスの開発では、用いた有機成分の変質や他の有機物汚染を評価することは極めて重要です。通常、有機物の分析はGCやLCなどの分離機器を用いた分離・定量分析と、赤外、NMR、MSなどを用いたスペクトル解析によるバルク構造の分析が主体ですが、これらの分析手法は局所分析に不向きです。また、半導体デバイスの分析で多用されるオージェ、ESCA、D-SIMS等の表面分析機器による局所分析は、有機材料に適用しにくいため有機デバイスの分析は困難です。

ここでは、有機材料表面の構造情報が得られるTOF-SIMSを用いて、有機デバイスの表面汚染の評価を行った例を紹介します。図1に有機デバイスの芳香族系フラグメントイオン種の2次イオン強度と、デバイス性能指数を示します。

図1:有機デバイスの規格化2次イオン強度と性能指数

図1:有機デバイスの規格化2次イオン強度と性能指数

この結果より、有機デバイスの性能指数の低下が見られた領域には、芳香族系フラグメントイオン種が強く検出されており、有機デバイスの性能低下は芳香族化合物による汚染が原因であることが分かります。

このようにTOF-SIMSは、有機成分の特徴的なフラグメントイオン種を詳細に調べることにより、有機デバイス表面の有機物汚染に関する多くの情報を得ることができます。

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