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S383

反射電子像観察による異物探索

走査型電子顕微鏡(SEM)は、汎用的なミクロ分析装置として異物探索にも広く利用されています。例えば、製品粉末中で異物を探したり、製品表面の付着物を見つけるような場合に、反射電子像観察により異物を識別した後に、エネルギー分散型X線分光法(EDS)による元素分析を行うことで効率的な分析ができます。ここでは、反射電子像による異物探索の例を紹介します。

反射電子像は、SEMの電子銃から照射された電子のうち、試料内部に侵入・散乱して再び真空中に放出(=反射)された比較的高エネルギーの電子を検出して画像信号としています。原子番号が大きく高密度の材料で放出信号強度が強い(明るく観察される)ため、試料の組成が像コントラストに反映されやすい特性があります。一方、通常のSEM観察で利用する二次電子像は試料表面で二次的に発生した低エネルギー電子(二次電子)を検出しており、試料形状を忠実に反映しやすい特性があります。

次に、SUS/アルミニウム/SiC混合粉末のSEM観察例を以下に示します。写真1が二次電子像、写真2が同じ視野での反射電子像で、写真3は写真2の拡大像です。このように、反射電子像ではSUS粒子が明確に識別できるようになります。

以上のように、反射電子像では原子番号の違いを検出しやすくなりますので、異物分析では必須の観察方法となります。

写真1:SEM像(二次電子像)  
写真1:SEM像(二次電子像)  
写真2:SEM像(反射電子像) 写真3:異物付近拡大SEM像(反射電子像)
写真2:SEM像(反射電子像) 写真3:異物付近拡大SEM像(反射電子像)
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