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S422

偏光ラマン分光法によるPbTiO3結晶膜の配向状態マッピング

顕微レーザラマン分光装置は、最小1μmの分析径で物質の結晶構造等に関する情報を得ることができ、ステージを移動させて各ポイントでスペクトルを取得することにより、構造に関する分布状態の評価が可能です。

水熱合成法により製膜したPbTiO3結晶膜の光学顕微鏡像を図1に示し、図中のRegion 1及び2の領域の偏光ラマンスペクトルを図2に示します。これより、Region 2には配向性は認められませんが、Region 1はc軸に優先配向していることが確認でき*1、この結晶膜中には配向性の異なる二つの相が混在していると考えられます。

そこで、結晶膜中の配向状態について調べるため、配向性の影響が最も顕著に現れるz(yx)zの配置で、10μm間隔で25×20ポイントにおける偏光ラマンマッピング測定を行いました。図3は得られた各ポイントのスペクトルから[A1(1TO)モードの強度]/[E(2TO)モードの強度]を算出しマッピング表示したものです。c軸に配向している箇所ではEモードに対しA1モードの強度が減少するため、図3ではc軸に配向した部分が青色(強度小)で表示され、c軸に優先配向した結晶の分布状態を確認することができます。

図1:PbTiO3結晶膜の光学顕微鏡像 図2:Region 1(a)及びRegion 2(b)の偏光ラマンスペクトル
図1:PbTiO3結晶膜の光学顕微鏡像
図3:PbTiO3結晶膜の配向状態マッピング
図3:PbTiO3結晶膜の配向状態マッピング 図2:Region 1(a)及びRegion 2(b)の偏光ラマンスペクトル

*1 技術資料 「偏光ラマン分光法によるPbTiO3結晶膜の配向性評価」 参照。

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