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S459

EELSによるPtシェル厚みの測定

固体高分子型燃料電池の電極触媒としてPt系触媒が用いられており、コストや埋蔵量の関係よりPt使用量の大幅な低減が求められています。その対策の一つとして、触媒反応が起こる粒子表面(シェル)にのみPtを使い、粒子内部(コア)を異種金属(例えばPd)で置き換えるコアシェル化技術があります。コアシェル化の利点として、Pt使用量の低減の他に、PtシェルとPdコアとの相互作用によって、Pt単独よりも触媒活性が向上することが知られています。しかし、最適なPtシェルの厚さは、数モノレイヤーとされており、高活性なPd/Ptコアシェル型触媒粒子(以下、コアシェル粒子)を合成するためには、Ptシェル厚みを局所的に評価する必要があります。

ここでは市販のコアシェル粒子1個について、表面から中央部にかけてEELSライン分析を行い、コアシェル粒子のPtシェル厚みを見積もりました。

コアシェル粒子の暗視野STEM像とEELSラインプロファイル

図1:コアシェル粒子の暗視野STEM像とEELSラインプロファイル

コアシェル粒子の暗視野STEM像を図1-(a)に示します。図中の矢印部についてEELSのラインプロファイルおよび同時に測定した暗視野STEM像の像強度プロファイルを図1-(b)に示します。暗視野STEM像のプロファイルは、PtおよびPdを合わせた分布を示すと考えられます。Pd-MのEELSプロファイルと暗視野STEM像強度プロファイルを比べると、シグナル強度の立ち上がりに差が生じています。この差はPtシェル厚みに相当し*1、およそ0.5nmと見積もることができます。

  • *1 K. Sasaki et al., Electrochim. Acta, 55, 2645-2652 (2010).
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