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S515

EDSマックスピクセルスペクトラム法による微量元素の検出

EDSによる微量元素検出時の限界濃度は、ビーム電流 i と測定時間 t の積 it の平方根に反比例し、検出限界が1/10に低下するためには100倍の測定時間が必要になります。今回紹介するマックスピクセルスペクトラム法は異なるアプローチで微量元素を検出する方法で、粉体中の混入異物や、バルク試料中の微小析出物など、異物が局在する場合に適用可能です。また、元素を特定せずに未知元素を探索できる点は、従来と同様です。

図1に示すように、×100の視野中にNaCl粒子が2個見つかっています。視野全体を平均すれば極微量となるNa、Clの検出を試みました。

本法では、測定視野のマップを測定します。図2はマップ測定後のEDSスペクトルで、長時間の測定にもかかわらずNa、Clピークは確認できません。

図1:探索範囲(1.28mm×1mm)
図1:探索範囲(1.28mm×1mm)
図2:マップ測定後のEDSスペクトル
図2:マップ測定後のEDSスペクトル

マップ測定データは、全ピクセル(256点×200点=51,200点)で、それぞれにスペクトルを保持しています。この51,200枚のスペクトルを印刷して、重ね合わせれば、NaCl粒子に相当するピクセルでのスペクトルは、NaとClのピークが上に突出し、容易に見つかるはずです。こうした解析処理を行った結果スペクトルが図3の黒色ラインです。NaとClの位置にピークが検出されています。

このように、マックスピクセルスペクトラム法を用いた測定では、局在する未知元素を高感度で検出することが可能です。

図3:解析処理後のEDSスペクトル
図3:解析処理後のEDSスペクトル
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