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SE116

カールフィッシャー水分測定(気化法)
−スキャンモード測定−

カールフィッシャー水分計によりプラスチックや無機塩等の固体試料の水分測定を行う場合、一般に気化法が用いられます。この方法は、水分気化装置により試料中の水分を気化させ、気化した水分をキャリアーガスで滴定セルに導入し、水分を測定する方法です。

気化法は試料に応じて適切な気化温度(プラスチックであれば融点付近)を設定する必要がありますが、適切な気化温度が不明な場合、あるいは試料の温度挙動を把握したいときは、スキャンモード測定(気化温度探査機能)が有用です。

図1にスキャンモードの概要を示します(京都電子工業製:MKC-610取扱説明書より転載)。この方法は、試料を加熱炉内で一定の速度で連続的に加熱し、同時に得られる水分気化曲線から水分放出の減衰を判断し、その時点の加熱炉温度を気化温度として検出するものです。

図2に標準試料の酒石酸ナトリウム二水和物についての測定例を示します。上図が測定時間vsユニット水分量及び加熱温度、下図が加熱温度vsユニット水分量及び積算水分量を示しています。

図1:スキャンモードの概要
図1:スキャンモードの概要
図2:酒石酸ナトリウムのスキャンモード測定

図2:酒石酸ナトリウムのスキャンモード測定
<測定条件>温度範囲:100〜300℃、昇温速度:4℃/min

気化温度は150℃と検出され、加熱炉温度は150℃に設定するのが適切であることが分かりました。また、約240℃以上において熱分解による水分の放出が検出されました。このように試料の温度挙動を把握することも可能です。

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