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Z003

定量NMRの定量値の再現性

定量NMRの利点

定量NMR(qNMR)はNMRスペクトル上の定量用基準物質(標準物質)と分析サンプルの積分値を比較することで分析サンプルの定量値を得る測定法です。HPLCやGCでは成分により検出感度に違いがあるのに対し、適切な測定条件下でのNMR信号の積分比は化合物の種類に関係しません。また、HPLCやGCと異なり、測定対象物と同一の標準物質や定量のための検量線を必要としないことも大きな特徴の一つです。特に高純度の測定対象物を入手することが困難な天然有機化合物などの定量においては、非常にメリットのある測定法といえます。また、qNMRはHPLCやGCによる分析と同様、精度の非常に高い測定法です。

定量NMRの分析精度

フタル酸ジエチルのqNMRにおいて、測定精度の評価を行いました。試料調製を3回、繰り返し測定を3回行いました。

表1より繰り返し測定から得られる純度の相対標準偏差は0.25%であると算出されました。これより、繰り返し測定において高い再現性をもつことが分かります。

表1:繰り返し測定から得られる純度の相対標準偏差

表1:繰り返し測定から得られる純度の相対標準偏差

また、表2のように信号ごとの平均純度から着目した試料溶液の平均純度を求め、複数の信号から得られる純度の相対標準偏差を算出すると0.34%となりました。信号間での分析値のばらつきも小さいことが分かります。

表2:複数の信号から得られる純度の相対標準偏差

表2:複数の信号から得られる純度の相対標準偏差

qNMRの精度を高めるには、その他に試料調製の精度が最も重要になります。これには、qNMRで使用する標準物質の取り扱いや天秤による試料の秤量の高い技術が要求されます。

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