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M246

ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)の繊維配向解析

図1:ボリュームデータ

ガラスやカーボンの繊維により強化したプラスチック(FRP)において、繊維の分布や配向は力学特性や熱伝導性に大きく影響するため、三次元的な繊維配向の評価は重要となります。図1にガラス繊維強化プラスチック(GFRP)のX線CTによるボリュームデータ(繊維部分を表示)を示します。繊維が何重にも折り重なっている様子が分かります。

このデータに対して、繊維状のテンプレート(技術資料「テンプレートマッチングによる三次元繊維セグメンテーション」参照)を用いて繊維単位に分離し解析することが可能です。求めた繊維径による色分け表示と分布を図2に示します。太い繊維ほど赤みを帯びています。平均直径は約13μmと求まりました。

図2:(a)繊維径による色別、(b)繊維径分布

次に、各繊維の向きを評価します。水平(XZ面)からどれだけ傾いているかを示す角度φと、奥行き方向(Z軸)からの回転角度θで表します。それぞれの角度による色分けと分布を図3と図4に示します。角度φは0°、180°、360°付近に分布が集中していることから、繊維は水平(XZ)面にほぼ平行に存在すると考えられます。一方、角度θはいくつかのグループに分かれており、別々の方向に配向した繊維シートが重なっていることに対応すると考えられます。これらの他にも繊維長や繊維の曲がり具合を示す曲路率の情報も得られます。本技術は材料設計へのフィードバックなどのお役に立てると考えます。

図3:(a)繊維角度φによる色別、(b)角度分布

図4:(a)繊維角度θによる色別、(b)角度分布

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