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O554

昇温脱離ガス分析における試料の移送時の汚染について
ポリ袋による試料の汚染、適切な試料の移送方法

シリコンウエハなどの金属やガラス表面に存在する有機物の定性・定量は、昇温脱離ガス分析(TDS-GC/MS)で行うことができます(技術資料「シリコンウエハーアナライザーによる昇温脱離ガス分析(TDS-GC/MS)」参照)。

本手法は、高感度であるため、不適切な方法で試料を輸送すると、周りの有機物に汚染されて分析結果に影響が発生します。清浄なシリコンウエハをアルミホイルに包みチャック付きポリ袋に入れた場合(写真1、アルミホイル包装試料)と、清浄なシリコンウエハを直接チャック付きポリ袋に入れた場合(写真2、ポリ袋包装試料)について、検出ピークの違いを確認しました。なお、包装後24 時間、室温で静置した試料について比較分析を行いました。

写真1:アルミホイル包装試料

写真1:アルミホイル包装試料

写真2:ポリ袋包装試料

写真2:ポリ袋包装試料

図1にTDS-GC/MSの結果を示します。アルミホイルに包装した清浄試料に比べ、直接ウエハを入れた汚染試料では、クロマトグラフの後半に多くのピークを検出しております。

これらは、滑剤のアミド類などのポリ袋中の添加剤でした。このように、移送方法によって分析結果に大きな影響が発生しています。そのため、試料移送時には専用のケースを使うことが好ましいですが、難しい場合は、上記の通りアルミホイル(非光沢の白い面を試料側)で包んだ後、チャック付きのポリ袋へ入れて送付することが必要です。

図1:各試料のTDS-GC/MS TICクロマトグラム

図1:各試料のTDS-GC/MS TICクロマトグラム

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