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O562

飽和移動差NMR法(STD-NMR法)

タンパク質/リガンド間の相互作用の有無や強弱を調べる非常に有効な測定法として、医薬品分野で、医薬品の結合部位特定やスクリーニング等に幅広く活用され、注目されている飽和移動差(STD:Saturation Transfer Difference)NMR法の原理について紹介します。

本法の原理の模式図を示します。ラジオ波照射によって選択的に励起させることで飽和したタンパク質から、タンパク質と相互作用のあるリガンドは、飽和の影響(飽和移動(Saturation Transfer))を受けます。このとき、影響を受けたリガンドのシグナル強度が減少します(図-B)。飽和移動を受けていない状態のスペクトルからこのスペクトルを差し引くことにより、相互作用のあるリガンドを正のシグナルとして検出することが出来ます(その一方、相互作用のないリガンドのシグナルは消失)(図-C)。すなわち、相互作用のあるものだけが観察されます。

図:STD-NMR法の原理(イメージ)

図:STD-NMR法の原理(イメージ)

このように、STD-NMR法を用いることにより、タンパク質との相互作用の有無や強弱を調べることが出来ます。また本法は、溶液でのNMR分析であるため、タンパク質を溶液状態で評価できることも利点と考えられており、医薬品分野で利用が進められています。当社での測定例を、技術資料「STD-NMR法による医薬品とタンパク質の相互作用解析」に載せておりますので、そちらもご覧ください。

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