HOME > 分析対象 > 材料 > 高分子材料
P342

ナノインデンター及びSPMによる薄膜や微小領域の粘弾性評価

高分子材料の力学物性の大きな特徴として粘弾性(粘性と弾性の両方を合わせもった性質)があります。粘弾性の評価手法の一つである動的粘弾性測定(技術資料「固体粘弾性測定装置」、「溶融粘弾性測定装置」参照)から、弾性成分と粘性成分の弾性率としてそれぞれ貯蔵弾性率と損失弾性率が、弾性的成分に対する粘性的成分の割合として損失正接(粘性的成分/弾性的成分)が得られます。
ナノインデンターとは、尖った圧子で試料を押し込んだ時の荷重と変位を同時測定することで得られた荷重変位曲線から、微小領域の弾性率や硬さを計測する装置です。ナノインデンターよりもさらに鋭く尖った探針を用いる走査型プローブ顕微鏡(SPM)では、ナノインデンターよりも局所的な力学物性を評価することができます。当社保有のナノインデンターとSPMは動的測定機構と加熱ステージを保有するため、動的粘弾性測定(周波数分散および温度分散)ができます。
測定スケールの異なる3種の動的粘弾性測定(温度分散)を用いてポリアミド12(PA12)の粘弾性を評価しました。その結果、各装置で得られた挙動は同様でありました(図)。
ナノインデンターやSPMを用いれば、均質材料の最表面、高分子薄膜、複合材中のマトリックス樹脂の粘弾性を評価することができます。

グラフ:PA12の貯蔵弾性率 グラフ:PA12の損失弾性率
グラフ:PA12の損失正接 イメージ図が3つ:動的粘弾性測定装置(三点曲げ)、ナノインデンター(押込み深さ1マイクロメートル)、SPM(押込み深さ5ナノメートル)

※SPMの絶対値の評価には、ナノインデンター等で測定した同一材料の指標データが必要

図:PA12の貯蔵弾性率・損失弾性率・損失正接

前のページに戻るこのページのトップへ