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低弾性率粘着性エラストマーの機械特性評価(ナノインデンテーション)

図1:一般的な荷重変位曲線

図1:一般的な荷重変位曲線

材料の弾性率や硬さなどの機械特性は、材料の特性に影響する重要なパラメーターであり、新規材料の開発、材料の性能や信頼性の指標として広く利用されている。材料の微小化、薄膜化に伴い、マイクロメーターあるいはナノメータースケールの材料評価が求められている。これらの要求に対してナノインデンテーション試験が行われている。本試験では、圧子を試料に押込み、試料に印加する荷重と圧子の変位から図1に示す荷重変位曲線が得られる。得られた曲線を解析することにより、各種機械特性を評価することができる。

近年、低弾性率粘着性エラストマーは様々な分野で応用されている。例えばスマホ用液晶保護フィルムを構成する粘着層は、接着と剥離という2つの役割を担っている。さらに、粘着層が薄い場合、一般的なバルク測定では粘着層のみの情報を取り出すことができないためナノインデンテーション試験が重要となる。

図2にスマホ用液晶保護面に存在するシリコンエラストマーの荷重変位曲線を示した。一般的に弾性率が低い試料では塑性変形が顕著となる。さらに凝着力が大きいため、持上げ曲線は押込み曲線と大きく異なるヒステリシスを示す。この様に、ナノインデンテーション試験は低弾性率を示す試料の機械特性を評価することが可能である。

図2:スマホ用粘着層の荷重変位曲線

図2:スマホ用粘着層の荷重変位曲線

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