~タイ カプロラクタム社と三菱商事が最終的にCDM国連登録~
宇部興産株式会社(社長:田村浩章)と三菱商事株式会社(社長:小島順彦)が共同でタイにて推進している亜酸化窒素(N2O)削減CDMプロジェクトが、2007年8月2日の日本政府承認、2008年2月27日のタイ政府承認取得後、今般、事業化検討開始から2年以上の歳月を経て、最終的に2009年6月16日 国連登録されました。
本案件は、宇部興産のタイにおける子会社、タイ カプロラクタム社(Thai Caprolactam Public Co., Ltd.、以下TCL社)における、ナイロン6*1の原料となるカプロラクタム*2製造工程でN2Oを削減するCDM*3プロジェクトであり、カプロラクタム製造工程のN2O削減としては世界で初めて国連登録されたCDM事業です。宇部興産にとっては初のCDM登録プロジェクトであり、三菱商事では、30件目の国連登録CDMプロジェクトになります。
N2Oは、カプロラクタム製造工程で発生する副生ガスであり、地球温暖化に影響がある温室効果ガスです。
本プロジェクトでは、同工場より排気されるN2Oの排出量の削減を目的として、触媒によるN2O分解プラントを追加設置し、2009年6月から2012年末までの間、合計約53万トン(CO2換算)の排出権(CER)を獲得する予定です。
宇部興産とTCL社は、日本の技術によるN2O分解プラントを利用してN2O排出量を削減・モニタリングすることにより、地球の持続可能な発展に寄与しつつ、地球温暖化防止にも貢献します。TCL社は地域住民にも充分な配慮を行いつつ、カプロラクタムの製造とともに安全で確実なN2O削減事業を推進していきます。
三菱商事は、これまでの経験を活かしてTCL社と一緒に事業化調査、国連登録申請の関連手続き、国連承認取得活動などを推進してきました。N2O分解プラントとモニタリング測定機器などのファイナンス面でもTCL社に全面的に協力して参りました。三菱商事は、獲得した排出権を地球温暖化問題に積極的に取り組む企業に販売していきます。
正式名称 | Thai Caprolactam Public Co., Ltd. |
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所在地 | (本社)タイ王国バンコク市 (工場)タイ王国ラヨン県 |
社長 | Charunya Phichitkul(チャルニア ピチットクン。宇部興産(株)常務執行役員兼務) |
設立年 | 1990年 |
従業員数 | 414人(2008年12月末現在) |
出資比率 | 宇部興産 91%、丸紅グループ 7%、その他 2% |
業種 | カプロラクタム、硫安の製造・販売 |
生産能力 | カプロラクタム 110千t/年、硫安460千t/年 |
タイにおけるカプロラクタム生産プラントのテールガスの触媒式N2O分解プロジェクト
タイ王国、ラヨン県、ムアン ラヨン地区、タンボン タポン
N2Oは温暖化効果が二酸化炭素の310倍と大きいため、案件規模と相俟って、本プロジェクト実施を通じて地球環境への貢献を目指します。また、三菱商事は獲得した排出権を地球温暖化問題に取り組む企業へ販売することで当該国の削減義務目標達成にも貢献すると考えています。
宇部興産はタイにカプロラクタムの他に、ナイロン6樹脂、ブタジエンゴムの製造拠点を持ち、3工場が一体となって環境安全に取り組んで、地域社会との共生を目指しております。本件は、地域の環境改善に大きく貢献するものと期待しているだけでなく、タイ工業連盟においても、業界初のパイロットプロジェクトとして、また、日本の最新技術が、環境改善目的のためにタイへ技術導入する案件であり、大いに注目されています。
三菱商事は「市場メカニズムを使った地球環境と経済の共生」の必要性を認識し、排出権ビジネスに取り組んでおります。CDMに関するノウハウを活用し、以下役割を担っております。
-国連登録可能な事業(排出権獲得可能な事業)としてプロジェクト設計アドバイス
-日本政府の承認を取得
-排出権売買の形でプロジェクト資金の提供
三菱商事は今後とも全世界での排出権ビジネスを通じ、持続可能な発展という長期的な観点から地球環境と企業を支えるお手伝いをして参ります。