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「環境にやさしい香料の新製法の開発」が第10回「グリーン・サステイナブル ケミストリー賞」を受賞

2011年3月8日

宇部興産株式会社(社長:竹下道夫)は、「第10回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞(GSC賞)」を受賞しました。

GSC賞は、グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク(GSCN)*1が主催し、2001年からわが国でGSCの推進に貢献のあった個人、法人を表彰しているものです。GSCとは、製品設計、原料選択、製造方法、使用方法、リサイクルなど製品の全ライフサイクルを見通した技術革新により、「人と環境の健康・安全」、「省資源・省エネルギー」などを実現する化学技術のことです。

今回、受賞対象となったのは香水や化粧品・シャンプー等に幅広く使用されているマリン系香料の『ヘリオフレッシュ®』の開発に関するものです。 このマリン系香料は従来、中国からベトナム、カンボジアにかけて群生するクスノキ科の木の根から取れるサッサフラス油を原料として生産されていました。しかし、木の乱伐により、これらの木が絶滅の危機に瀕するとともに、森林破壊やそれに伴う水害等の災害が深刻となり、供給不安も問題となっていました。

宇部興産は、こうした森林破壊を食い止めるとともにマリン系香料の安定供給を図る解決策として、天然原料を使わない完全化学合成による新製法を世界で初めて開発しました。本製法は、全ての反応が高収率の触媒反応であり、有機溶媒を使用しておらず、副生する廃棄物を最小限に抑制したプロセスになっています。さらに本製法で製造することで、森林破壊の防止と生物多様性の維持に貢献しています。このように本製法が、学術、工業、環境保全の観点から持続可能な社会の実現に貢献していることが高く評価されました。

宇部興産は2004年から『ヘリオフレッシュ®』の商業生産を開始しましたが、その高い品質とコスト競争力が評価された結果、現在、世界シェアはほぼ100%となり、全世界に供給しています(生産能力800t)。

宇部興産のGSC賞の受賞は本件で2件目*2であり、今後も『ヘリオフレッシュ®』のような環境に配慮した製品を開発し、より多くのお客様に提供することで持続可能な社会の実現に取り組んでいきます。

*1
グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワーク(GSCN)
日本におけるGSCの活動を効果的かつ強力に推進するために、化学系の学会・団体および国立研究所(28団体)により、2000年3月に設立された任意団体
*2
第4回GSC賞 環境大臣賞「表面傾斜構造を有する高強度光触媒繊維の開発と水浄化システムへの展開」
※ 光触媒繊維は2013年10月1日で販売終了いたしました。

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