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S486

EBSD-FIBによる任意方位TEM試料作製

TEM/STEM観察において、結晶の特定方位からの観察が重要となる場合があります。SEM-EBSDを用いることにより、任意の方位の結晶粒子ならびに粒界相が観察できるTEM試料を作製することが可能となります。

Nd2Fe14B焼結磁石は非常に磁力が強く、ハードディスクドライブなどに永久磁石として使われています。永久磁石にとって大切な保磁力は、数nmの薄い粒界相が大きく影響していると考えられていることから、粒界相の観察や組成分析が重要ですが、薄い粒界相が観察方向と平行に観察できるTEM試料を作製する必要があります。

Nd2Fe14B焼結磁石のSEM写真(反射電子像)を図1に示します。主相であるNd2Fe14B粒子の三重点にNdリッチ部が観察されます。次に、同一視野のEBSD方位マップを図2に示します。各粒子の向きに応じて色分けされており、中央下側の青い粒子は粒界と平行に{110}面を持つことが分かります。図中赤線で示した部分をFIB装置内でマイクロサンプリングし、TEM試料を作製すると、<110>入射方位のNd2Fe14B粒子と薄い粒界相が観察されることが期待されます。

図2:EBSD方位マップ

図2:EBSD方位マップ

図1:SEM写真

図1:SEM写真

図3に、断面STEM写真(暗視野像)を示します。左側に<110>入射方位のNd2Fe14B粒子が観察されており、明るい点がNd原子位置に対応しています。中央には約3nmの粒界相が観察されています。右側の粒子はEBSDからも分かるように低指数の晶帯軸入射ではないため、STEM写真中で結晶構造に対応したコントラストは示していません。

図3中に水色で示す直線に沿ってEDS分析を行ったラインプロファイルを同図中に重ねて示します。粒界相にNd、Cu、Oが多いことが分かりますが、Oは試料酸化の影響の可能性があります。粒界相におけるNdとCuの分布は異なっており、CuはNd2Fe14B粒子と粒界相の界面に比較的多く存在していると推察されます。

図3:断面STEM写真、EDSラインプロファイル

図3:断面STEM写真、
EDSラインプロファイル

このように、SEM-EBSDとFIBを組み合わせることで、結晶の特定方位からのTEM/STEM観察が可能となります。

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