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S479

EDS法による不特定微量元素の検出

微量元素の検出については、WDS検出器を搭載したEPMAが、EDS検出器よりも優れるとされていますが、検出限界濃度は、ビーム電流iと測定時間tの積:itの平方根に反比例し、100倍の測定時間で検出限界が1/10に低下する性質があります。機械的な分光器であるWDS検出器では、測定前に測定時間と測定範囲を設定してスキャンするため、元素の種類と濃度をある程度想定する必要があります。一方、EDS検出器は、全測定範囲のX線を同時に取り込みますので、測定中にスペクトルをモニターして、ピークが検出できるまで測定時間をかける使い方が可能です。

銅箔上の微量Alの検出を例に紹介します。

図1は、銅板上でAlが検出されたEDSスペクトルです。Alピークを拡大表示した状態で観察し、Alが十分に検出されたことを確認して測定を終了しています。また、全元素取り込みの特徴から、想定外のSiも検出できました。測定時間が短い場合のスペクトルを図2に比較していますが、測定時間が長くなるにしたがって、明瞭なピークが得られることが判ります。

微量Alを含む銅板表面のEDSスペクトル

図1:微量Alを含む銅板表面のEDSスペクトル

図2:種々測定条件でのAl、Sピーク

図2:種々測定条件でのAl、Sピーク

このように、EDS分析では、元素を特定できない状況でも、微量元素の検出に対応することができます。

図3は、図1のEDSスペクトルを対数スケールで表示した例です。主元素のピークと、微量元素のピークを、ともに表示することができ、組成を定性的に把握することができます。

図3:EDSスペクトルの対数スケール表示

図3:EDSスペクトルの対数スケール表示

ここで紹介したようにEDS分析で微量元素を検出したのち、さらにWDS検出器を併用することで、

  • 特定の元素に注目した微量分析
  • EDSで重複するピークの分離確認

による精緻な分析へ展開できます。

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