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S543

走査型プローブ顕微鏡(SPM)による粘弾性測定

自動車タイヤ等のゴム材料において、安全性能や燃費性能に影響すると言われている粘弾性は、重要な評価項目のひとつです。従来、ゴム材料の粘弾性は動的粘弾性測定装置やナノインデンター(当社技術資料「固体粘弾性測定装置」、「溶融粘弾性測定装置」、「ナノインデンターによる動的粘弾性の温度依存性測定」)で評価されてきましたが、近年のゴム材料開発では分子や添加物単位での機能発現に注目しているものも多く、微小領域における評価や分布の評価も期待されています。我々がご提案する走査型プローブ顕微鏡(SPM)のAFM-nanoDMAモードは粘弾性をサブミクロンスケールの高分解能でマッピングできる手法です。

例として、自動車タイヤの断面を測定した結果を下図に示します。貯蔵弾性率像から、E’の高い硬い箇所(白色)はフィラーと推察され、軟らかい箇所(紫〜青)はゴム成分と推察されます。tanδについてもナノスケールで分布を見ることができます。さらに劣化を模した処理を行うことで、ゴム領域のE’およびtanδが増加していることが画像として確認できます。

以上から、SPMによる粘弾性評価は微小領域の粘弾性分布を可視化できる手法であり、ゴム材料全般に対して研究開発を支援できる評価方法です。

図:劣化前後のタイヤ断面の貯蔵弾性率E’像およびtanδ像

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